籠のなかの小鳥は

「姫様、まぁ、赤の宮様がこのような」

小鳥がまだここにやって来て、日も浅いころ。

女房たちが数人がかりで運びこんできたのは、おびただしいほどの絹と綾の連なり。部屋に波打つ、紅、緋、赤、あか・・・・


緋袴に、縦横に紅の染め色をかえて織り上げた色目のなかに、鳥の紋がうっすらと浮かび上がる袿(うちぎ)。擣ち目がつやつやと輝く単衣に、裳に、細長にいたるまで、赤の彩りでまとめられた装束であった。


内心、「お、重そう・・」と思った小鳥である。


生地はどこまでも潤沢に、意匠は粋をこらし、華やかなうえにもさらに華やかさを競うのが、贅美であり富のあかしである。


ぎりぎりまでスカートを短くしている日本の女子高生でも目にした日には、かづらなど口から泡を吹いてしまいそうだ。