籠のなかの小鳥は

五体満足なのだから、かづらのように、自分の身ぐらい自分で養いたい———


これといって才はないけれど、両親を早くに亡くしたこともあり、ひととおりの家事はこなせる。
といっても、この世界に全自動洗濯機はないから、洗濯は除くとして。

宮中の大膳職で働く炊女なんかどうだろう。料理はそれなりに得意だったし。


正真正銘の “姫様” であれば、官位に応じた封戸や、伝領を受けた土地や邸も、実家からの後見もあるのだが。

文字通り、着の身着のまま連れてこられた小鳥には、私産などなにもない。

着るものから、部屋の調度品、召し使う女房たちにいたるまで、四皇子の “後見” に頼っている、養われの身だ。