籠のなかの小鳥は

とはいえ、電気がない。
かろうじて、ガスと上下水道らしきものは存在する。

ちなみにガスは焰気、水道は水管と呼ばれている。

焰気や水管も、宮中の内裏という場所なればこそ。大変な贅沢品で、貴族でも邸に引ける者は少ないという。


電気がない。とうぜん、携帯電話もパソコンもインターネットもゲーム機もない。


そんな社会で、上達部・殿上人と称される貴族の男性や、蘇芳たちのような親王はいったい何をしているのかというと、日々政(まつりごと)を執り行っている。


朝政とよばれる午前早い時間からの政務(国会みたいなものだろうか)が、なんと毎日。
月と日の暦はあるが、土日の感覚はないようだ。

そのかわり、というか特別な議事がなければ午前中で政務は終わるので、午後を余暇にあてているようだ。
従って彼らの訪れも、午後になる。