籠のなかの小鳥は

名とは特別なもの、貴いもので、家族や仕える主人など、ごく近しい間柄でなければ口にしない。

蘇芳が「小鳥」と呼びさすのは、彼の地位の誇示でもあるのだろう。



ちなみに典侍(ないしのすけ)の名は、「かづら」というが、宮中では「典侍」でしかなく、他にも典侍がいる時には「王典侍(おうのないしのすけ)」と呼ばれる。

王、というのは、かづらの三代か四代前が親王家であった故に「王」の字を冠している。

つまり皇統に連なる家柄なのだから、小鳥の感覚では高貴な血筋だと思うのだが。


一夫多妻制が認められ、親王、内親王の数も多いとなると、事情が変わる。
いかに帝の皇子として生まれても、番(つがい)をもたなければまず陽が当たることはない。

一代のみ「宮様」と呼ばれてかしずかれて終わる、はかない立場であるという。