籠のなかの小鳥は

「姫様、お疲れではございませんか」
典侍が、ためらいがちに声をかける。


「あ、いえ、丈夫なのだけが取り柄なので」

その返事に、典侍が眉をくもらせる。


そうだった、深窓の姫君が健康自慢では「興がそがれる」のだ。やはり心も身体も、か弱くはかなげなのが望ましいとされている。


———気疲れはしているけれど。


三日とおかずにやって来ては、常に尊大不遜なもの言いと態度で、人を「小鳥」と呼び捨て、「后にしてやる」と言ってはばからない、赤の宮こと蘇芳の君が、当然ながら非常に苦手だった。


この国では、人を名前で呼ぶことはまれで、官位役職で呼びならわされる。
「先生」とか「部長」みたいなものなのか。