籠のなかの小鳥は

バサッ!!

羽ばたきが、風をおこし鼓膜を揺るがす。

瞬時にはなにが起こったのか、分からなかった。枢が飛び出したのだと気づいて、驚きに打たれる。

御簾をはねのけ、開けられた半蔀から外へ、空へ、高く、遠く———


枢、と自分の番に呼びかける。

行って、西へ、西の果てへ。



「あれ、」

「あれは・・・」

見上げて、ある者は足を止め、ある者は指をさして、口にする。

西へ、羽をひろげていっさんに飛んでゆく白い鳥を、多くの人々が目にした。
小さきものであるはずなのに、なぜだかその姿は誰の目にもくっきりと映る。

ある者は、鳥とその飛びゆく方角へ手を合わせる。


祈りをのせて、鳥は飛ぶ。

一昼夜、白い鳥は飛びつづけた。ひたすら日の沈む方へと。

夜をぬって飛び、やがて昇る朝陽を背にうけて、なおも飛ぶ。