籠のなかの小鳥は

「相分かった」
蘇芳が口の端をつりあげて笑む。


一夜、と珀斗が言葉を切る。
「一夜で決着をつけましょうぞ」

「新月の晩が待ち遠しいな」と青波。


幕舍からおもてに出ると、夕暮れの陽が大地を染めていた。

小高い丘の上に設けられた本陣からは、はるか向こう、夷狄に占拠された砦が見渡せる。
風にはためく、敵国の軍旗。


「あのいまいましい旗を、引きずり下ろす」
目を射る夕陽をものともせず視線をすえて、蘇芳が低くつぶやく。


「近衛大将殿の弔い合戦でもありますれば」
隣にならんで、珀斗がこたえる。


「名も無きあまたの兵にいたるまで。この戦で散ったひとりひとりが、この国の礎。忘れはせぬ」
蘇芳の声が重く静かに響く。


かならず仇は取る、と自分に言い聞かせるようにつぶやいた。