籠のなかの小鳥は

「朱雀の焰を樽に放つのでは駄目なのか?」蘇芳が問う。


「それでは火の勢いが強すぎて、空中で爆発してしまいましょう。
あくまでも地上で燃え広がり、砦を火の海にするのが目的です」

なるほど、と蘇芳がうなづく。


「樽は分かったけど、槌はどう使うのかな?」青波が尋ねる。

車輪と鉄の盾をそなえ、先端を金属で被覆された太い柱。


「これにて、砦の扉を破壊します。
火に包まれたからといって、敵もうかうか外に逃げてはこないでしょうが。守備は間違いなく手薄になる。
そこを、この槌で突破します。鉄の甲を備えておりますから、押し手は矢に射られる恐れもない。
扉を破れば、あとは一気に攻め込むまで」


作戦は分かった、と蘇芳。
「だが、砦の真上でこんな樽をいくつもぶら下げて、火矢を射るのを、諸碍どもが大人しく見ているとは思えん。
荷物が重くては、青龍も玄武も思うように動けんだろうし」


「ですから決行するのは、夜です」珀斗はあっさり言った。
「月もないような夜が決戦の刻。白虎は力こそ足りませんが、夜目が利きますから先導をつとめましょう」