籠のなかの小鳥は




「姫様! 大変なことが・・・」
告げにきた女房が、言葉をつづけられず、その場にくずおれる。


浮き足立ち、凱旋の賀はいかがいたしましょうか、などと口にするようになっていた宮中は一転。
深い哀しみに突き落とされた。


近衛大将、戦死———

参議の身でありながら、最前線で軍を率い武功をあげていたひと。
番の早蕨は、鳥瞰での敵情視察に欠かせない存在だった。


すらりと背の高い大将と、その腕で誇らしげに胸をそらしていた早蕨。

あのお方が———・・・

昨年生まれたという、番をもつ男児の行く末をそれはそれは楽しみにしていたという、近衛大将。

遺された家族や、共に戦ってきた皇子たちの苦しみはいかばかりだろう。


危険を承知で敵陣の上空まで偵察に飛んだ早蕨は、諸碍の弓に射落とされた。
主と番はふたつでひとつ。無念の戦死をとげた。

大和軍は、優れた将と重要な戦力を同時に喪ったのだ。


小鳥にとっては初めての、近しい人の死。
衝撃は言葉にならず、顔をおおって身をよじる。

人の命が奪われるのが戦なのだと、分かっていたつもりでいたのに。