籠のなかの小鳥は

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「なぜそんなにも悠揚にかまえていられる」
幕舍で昴が苛立った声をあげる。

「近衛大将殿の番、早蕨の俯瞰での偵察によれば、敵は我が軍を超える数の兵を動員している」


「戦は人が為すもの。数ではありますまい」
珀斗があっさりと返す。


「どういう意味だ?」
蘇芳が問う。

「どうやら増員のほとんどは、内紛に敗れて捕虜となった他部族の者。
国を護る使命を胸に戦う兵と、連行されて戦わされる兵では、士気に雲泥の差がありましょう」


「場合によってはこちらに寝返るかもねぇ」
と青波。


「彼らとて、帰りたい地があるでしょうから、そう単純ではありますまいが。
いずれにせよ、寄せ集めの大軍など恐るるに足らず」

珀斗の言葉に、反論するものはいなかった。


「我らは早や、平地での戦いに勝利することです。敵を砦に押し込め、籠城戦に追いこむまで」

一同は無言でうなづいた。