永遠につづくかのように思われた冬も、やがて巡るときがやってくる。
少しずつ少しずつ、日はぬるみ、薄衣をはがしてゆくように、新しい季節が顔をだす。
凍った雪が溶けて雫になり地面に落ちる音を、春の足音のように聞いた。
そうしてある朝、小鳥はたしかに感じとった。
まだ溶けきらない雪のしたの、土と緑の匂いを。
排ガスをまぶされていた鼻も、季節の移ろいを感じられるまでに澄まされたことに驚く。
現代社会は、利便性と引き換えに大切なものを失ってしまっていないだろうか。そんな警句を耳にしたことがあったけど。
大和国にて、実感中である。
今は如月。大和国に来て、そろそろ一年が経とうとしている。
本格的な雪解けを待たず、戦は早くも激しさを増しているという。
「夷狄は他部族の軍までも加えて、冬の間に兵力を増強したそうでございます」
「恐ろしきこと」
女房たちが身を震わせる。
顔から血の気が失せるのが分かる。
誰もが無言で顔を見合わせ、視線をうつむかせた。
少しずつ少しずつ、日はぬるみ、薄衣をはがしてゆくように、新しい季節が顔をだす。
凍った雪が溶けて雫になり地面に落ちる音を、春の足音のように聞いた。
そうしてある朝、小鳥はたしかに感じとった。
まだ溶けきらない雪のしたの、土と緑の匂いを。
排ガスをまぶされていた鼻も、季節の移ろいを感じられるまでに澄まされたことに驚く。
現代社会は、利便性と引き換えに大切なものを失ってしまっていないだろうか。そんな警句を耳にしたことがあったけど。
大和国にて、実感中である。
今は如月。大和国に来て、そろそろ一年が経とうとしている。
本格的な雪解けを待たず、戦は早くも激しさを増しているという。
「夷狄は他部族の軍までも加えて、冬の間に兵力を増強したそうでございます」
「恐ろしきこと」
女房たちが身を震わせる。
顔から血の気が失せるのが分かる。
誰もが無言で顔を見合わせ、視線をうつむかせた。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)