おさえてもおさえてもこみ上げる想いを、出せはしない文に書き付ける。
皇子たちなら望めば私信のやりとりくらいはできるだろう。
けれど、彼らは厳しく自らを律している。
全身全霊をかけて、国を護るために戦っているのだから。私情にかまけている余裕はない。
小鳥とて、そんな彼らの邪魔はしたくない。
だからといって、この胸の苦しさが減るわけではないのだけど。
文を書いては破り、書いては破って手焙りにくべて燃した。その文殻について問うてくる者はない。
おそらく誰も、似たようなことをしているのだろう。
とはいえ文を燃しているばかりではない。
ときには手焙りにのせた網に、干し柿や栗がならべられる。
香ばしくじんわりと熱された甘い冬のおやつを、はふはふと口にする。
数少ない笑顔こぼれるひとときだった。
ひそめやかに、日は一日また一日と流れてゆく。
皇子たちなら望めば私信のやりとりくらいはできるだろう。
けれど、彼らは厳しく自らを律している。
全身全霊をかけて、国を護るために戦っているのだから。私情にかまけている余裕はない。
小鳥とて、そんな彼らの邪魔はしたくない。
だからといって、この胸の苦しさが減るわけではないのだけど。
文を書いては破り、書いては破って手焙りにくべて燃した。その文殻について問うてくる者はない。
おそらく誰も、似たようなことをしているのだろう。
とはいえ文を燃しているばかりではない。
ときには手焙りにのせた網に、干し柿や栗がならべられる。
香ばしくじんわりと熱された甘い冬のおやつを、はふはふと口にする。
数少ない笑顔こぼれるひとときだった。
ひそめやかに、日は一日また一日と流れてゆく。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)