籠のなかの小鳥は

おさえてもおさえてもこみ上げる想いを、出せはしない文に書き付ける。

皇子たちなら望めば私信のやりとりくらいはできるだろう。
けれど、彼らは厳しく自らを律している。

全身全霊をかけて、国を護るために戦っているのだから。私情にかまけている余裕はない。


小鳥とて、そんな彼らの邪魔はしたくない。
だからといって、この胸の苦しさが減るわけではないのだけど。

文を書いては破り、書いては破って手焙りにくべて燃した。その文殻について問うてくる者はない。
おそらく誰も、似たようなことをしているのだろう。


とはいえ文を燃しているばかりではない。

ときには手焙りにのせた網に、干し柿や栗がならべられる。

香ばしくじんわりと熱された甘い冬のおやつを、はふはふと口にする。
数少ない笑顔こぼれるひとときだった。


ひそめやかに、日は一日また一日と流れてゆく。