空気は日に日に冷え乾き、冷気は寝殿のなかにまで入りこんでくるようになる。
通気性のいい寝殿造りは、寒気にはめっぽう弱い。
そして大和国の冬は、これぞ冬という感じにしっかり寒い。
濡れ縁にでも出ようものなら、吹く風に肌を切られるようだ。
綿を入れた袷(あわせ)をはおって、暖房器具といえば手焙りくらいだ。
手焙り(てあぶり)というのは、火鉢を上品にしたような感じのものだ。
白い陶製の鉢に灰が敷かれ、その上に熾した炭がのせられている。
まわりの空気と、かざす手が温められるくらいのものだけど。
不思議だ。手焙りのほのかな熱や、ときおりの日だまりのほうが、ストーブよりも温かく感じられるのだから。
かじかむ指先を温めながら、手焙りのほとりで変わらず手仕事は続く。
そうして、戦もまた・・・・
大和国が優勢という戦況が伝えられてくるけれど、どこまで信じていいものだろうか。
戦争にはプロパガンダがつきものだし、それは大和国とて例外ではないだろう。
皇子たちと番の強さは疑いようもないけれど、相手は武族で鳴らす夷狄の軍だ。
それであるのに、大和国の空の軍は実質、朱雀と青龍しかいない。
通気性のいい寝殿造りは、寒気にはめっぽう弱い。
そして大和国の冬は、これぞ冬という感じにしっかり寒い。
濡れ縁にでも出ようものなら、吹く風に肌を切られるようだ。
綿を入れた袷(あわせ)をはおって、暖房器具といえば手焙りくらいだ。
手焙り(てあぶり)というのは、火鉢を上品にしたような感じのものだ。
白い陶製の鉢に灰が敷かれ、その上に熾した炭がのせられている。
まわりの空気と、かざす手が温められるくらいのものだけど。
不思議だ。手焙りのほのかな熱や、ときおりの日だまりのほうが、ストーブよりも温かく感じられるのだから。
かじかむ指先を温めながら、手焙りのほとりで変わらず手仕事は続く。
そうして、戦もまた・・・・
大和国が優勢という戦況が伝えられてくるけれど、どこまで信じていいものだろうか。
戦争にはプロパガンダがつきものだし、それは大和国とて例外ではないだろう。
皇子たちと番の強さは疑いようもないけれど、相手は武族で鳴らす夷狄の軍だ。
それであるのに、大和国の空の軍は実質、朱雀と青龍しかいない。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)