籠のなかの小鳥は

「従兄弟が・・・幼いころから兄弟のように慕っておりましたひとが・・・・」

むせび泣く女房にかける言葉は見つからない。一緒に泣くことしかできなかった。

喪に服し、鈍色の装束をまとい、渡殿を行き来する女官の姿が、ちらほらと目につくようになってくる。


たとえ勝ったとしても、兵が一人も欠けずに戻ってくることはない。
戦争であれば必ず戦死者がでるのだと、その現実を突きつけられる。


皇子たちは変わらず総大将として八面六臂の活躍をしているようだ。

女房たちとのおしゃべりも、しぜん戦のことが多くなるので、誰もがいっぱしの軍事評論家になっている。
戦というのは、ただ兵の数を集め攻撃すればいいというものではない。

物資の補給、軍の統制、戦術の展開・・・指揮を執らなければならないことは無限にある。

もちろん、補佐をする参謀や大将はいるけれど、最終的な責任を負うのは四人だ。


それでありながら、本陣に詰めているばかりではない。
(主に蘇芳が)番を駆って最前線でめざましく活躍を続けている。