籠のなかの小鳥は

それでも、総大将である皇子たちであれば、必ず報せがもたらされる。
まだ恵まれているのかもしれないと、自分に言い聞かせる。

安否も分からぬまま、無事を祈るしかないもののほうが多いのだから。


宮中もそれこそ灯の消えたような状態になっていた。

皇子たちに倣って、上達部・殿上人の多くも参戦している。
すべてがすべて、忠心から出た行動ではないだろうが。

この戦で功績がない者は、今後の栄達は望めない。
格好だけであっても従軍することになる。

残っているのは高齢、あるいは病身の者ばかりだ。

女房たちにもいとまを願い出るものが少なくない。
男手を失った実家を思えば、戻って身を寄せ合いたいと願うのは当然だろう。


出陣して二十日ばかりが過ぎようという頃には、ぽつりぽつりと戦地からの報せが届くようになった。


皇子たちが軍を率い、最前線で奮戦している様子。
朱雀と青龍はおもに空中戦を、白虎と玄武がおもに地上戦を、それぞれ戦っているという。


青龍が張った密な網に突っ込んだ諸碍の一隊は、さながらかすみ網にかかった鳥のようにからめとられる。
そこを朱雀の焰が一網打尽にする。