籠のなかの小鳥は




———・・姫様、ひめさま、

誰かを呼ぶ声に、水底をたゆたっていた意識が、泡沫のように浮上する。


・・・ひめさま・・・だれ・・?・・・


目を開ければそこには、まさしく等身大のお雛様(やや年はいっているが)がこちらを覗きこんでいた。

仰天しつつ、その顔の優しそうなことに、どこかで安堵を覚えた。


———姫様が、お気がつかれました、
女性が顔をふりむけて、声を上げる。

視界がピンク色だと思ったら、四方は薄いカーテンのような布で覆われていた。

体を動かそうとすると、重い。気づけば自分も雛人形のような装束を着せかけられていた。


これが夢でないのなら、あるいは、手の込んだドッキリとかでなければ———、呆然としながら悟る。


自分はどこか違う世界に連れてこられたのだ。

そうしてどうやら、姫様とは自分のことのようだ。


その女性が典侍(ないしのすけ)で、以来小鳥のそばに付き添い、なにくれとなく世話を焼いてくれている。
世話係のようなものだろうか。