籠のなかの小鳥は

思ったその時、首領の動きがとつぜん乱れた。

空中で苦しそうに羽をばたつかせ、身をもがく。


くそっ、となぜか蘇芳が悔しそうにうなる。


いったい————あっ!!


「蜘蛛の巣にかかった蝶って、綺麗だよねぇ。逃がしてやりたいような、やりたくないような」


青く透きとおる鱗を輝かせる龍が、雲の上から姿をあらわす。
蒼銀の光をはなつその背に乗って、悠然と飛ぶそのひと。

「やっぱり捕まえるなら、女性がいいな、僕は」


青の宮、青波。


「青波! なにしに来やがった」蘇芳がどなる。

「蘇芳くんにばかりいい格好させるのもねえ。青龍が騒いでさ」

余計なことを、と舌打ちする。


「生け捕りにするなら青龍の方が向いてるんじゃない? そっちの二人もさ」

言うなり大きく口を開けた青龍が、背をむけて逃げようとする諸碍にむけて、なにかを吐き出す。


首領の男を捕らえ、青龍の口から吐かれたもの、それは細い細い蜘蛛の糸のような無数の銀糸だった。

放散された糸の網から逃れるすべはなく、男たちは絡めとられる。もがけばもがくほど身動きがとれなる仕組みだ。


「舌を噛んで死なないように、さるぐつわも噛ませておこう」