相手の技量を推し量る余裕まである。
朱雀が首をひねり、視線をひとりに定める。攻撃や撤退の指示をした男。
「首領格を追う。できれば生け捕りにしたいんだがな」
その男も手傷を負っている。足に深々と刺さった朱雀の羽を引き抜かずにいるのは、出血を抑えるためか。
朱雀が背後から数度、焰を浴びせる。
すんでのところでかわしながら、相手も死にものぐるいで飛んでいる。
追う朱雀が、不意に羽を勢いよくひるがえした。弾きとばされた矢が大きく弧を描いて落ちてゆく。
背後から諸碍が二人、こちらに迫っている。違う方向に逃げていたはずの者たちだ。
「ほう、頭のために命を張るか。ますますもって気に入った」
一人は朱雀の焰に撃たれて、片腕のひじから先がもげている。
もう一人の腹部からは、鮮血が流れている。
二人の目には覚悟の色があった。
首領はふり返ることなく、いっさんに西の方角へと飛んでゆく。
ああ、逃がしてしまう・・・
朱雀が首をひねり、視線をひとりに定める。攻撃や撤退の指示をした男。
「首領格を追う。できれば生け捕りにしたいんだがな」
その男も手傷を負っている。足に深々と刺さった朱雀の羽を引き抜かずにいるのは、出血を抑えるためか。
朱雀が背後から数度、焰を浴びせる。
すんでのところでかわしながら、相手も死にものぐるいで飛んでいる。
追う朱雀が、不意に羽を勢いよくひるがえした。弾きとばされた矢が大きく弧を描いて落ちてゆく。
背後から諸碍が二人、こちらに迫っている。違う方向に逃げていたはずの者たちだ。
「ほう、頭のために命を張るか。ますますもって気に入った」
一人は朱雀の焰に撃たれて、片腕のひじから先がもげている。
もう一人の腹部からは、鮮血が流れている。
二人の目には覚悟の色があった。
首領はふり返ることなく、いっさんに西の方角へと飛んでゆく。
ああ、逃がしてしまう・・・



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)