籠のなかの小鳥は

蘇芳の腕のなかで翻弄されているうちに、太陽は地平線に近づき、赤はますます鮮やかだ。
陽の最後の輝きが、燃えている。


気づけばずいぶんと遠いところまで。見下ろすと、人家はまばらで田畑が目につく。

朱雀の飛行能力を改めて知る。

枢は早くも疲れて、ちゃっかり朱雀の趾に止まらせてもらっている。


日の没する方角。この先、西国の果てでは、戦が続いているという。

じっと目を向ける小鳥の視界に、なにかが引っかかった。


最初それは、黒いいくつかの点だった。
ねぐらに帰る、鳥の一群にも映った。

だがしだいに、それは大きく近くなってくる。不吉な黒い影のように。

思わず息をのんで、蘇芳にしがみつく。怯えた枢が、飛びこむように小鳥のうちに戻ってきた。

「す、蘇芳様、あれは・・?」


諸碍(もろがい)だ、と落ち着いた声で蘇芳が答える。
視線はまっすぐ一団をとらえている。

諸碍(もろがい)。近づいてくるにつれ、その異形が明らかになる。

小鳥の知るかぎり、いちばん近いものといえば烏天狗だろうか。
背に羽を生やした男たち。ひたいが秀でて広く、鋭角的な面つきをしている。

作務衣のような簡素な衣服は、空中での動きやすさのためか。