「なぜです」
このひとなら、全てを手に入れることができるのに。
「どんな権門家の姫だろうと内親王だろうと、娶る気はない」
どうして・・・
「政(まつりごと)は民のため、ひいては国のために為されるものだ。后やその一族を肥え太らせるものではない」
どこかの国の政治家に聞かせてやりたい台詞だ。
「だからお前が必要だ。お前と枢が」
自分はこの国でも、元いた国でも孤児だ。たしかに外戚とは無縁だけれど。
小鳥、と呼ばれた気がして、反射的に顔を上げる。と、そのままあごに手をかけられた。
目の前に、彼の顔————
「・・!・・ん・っ・・」
重ねられたくちびるは、ただ熱い。
主の緊急事態に、哀れ枢はバランスを失い、きりもみ落下しそうになる。朱雀がすばやく翼を広げて、小さな体を掬いあげる。
「・・ぁ」
互いの口のあいだから、熱っぽい吐息がもれた。
そう長い時間ではなかった、と思う。初めてのことに、思考は停止状態だ。
このひとなら、全てを手に入れることができるのに。
「どんな権門家の姫だろうと内親王だろうと、娶る気はない」
どうして・・・
「政(まつりごと)は民のため、ひいては国のために為されるものだ。后やその一族を肥え太らせるものではない」
どこかの国の政治家に聞かせてやりたい台詞だ。
「だからお前が必要だ。お前と枢が」
自分はこの国でも、元いた国でも孤児だ。たしかに外戚とは無縁だけれど。
小鳥、と呼ばれた気がして、反射的に顔を上げる。と、そのままあごに手をかけられた。
目の前に、彼の顔————
「・・!・・ん・っ・・」
重ねられたくちびるは、ただ熱い。
主の緊急事態に、哀れ枢はバランスを失い、きりもみ落下しそうになる。朱雀がすばやく翼を広げて、小さな体を掬いあげる。
「・・ぁ」
互いの口のあいだから、熱っぽい吐息がもれた。
そう長い時間ではなかった、と思う。初めてのことに、思考は停止状態だ。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)