籠のなかの小鳥は

み、宮様、と蘇芳の腕のなかで声を出す。彼の胸元にぴったり顔を寄せているので、表情はうかがえない。


「なんだ」

「あの・・・戻りませんと、迎えの者が・・・」

控えめに言った、つもりだったが。


不意に重力の恐怖が身に迫った。蘇芳が回していた腕をといたのだ。
ここは地上何百メートルの朱雀の上だ。シートベルトも安全バーもない。

「きゃあぁっ!」

小さく悲鳴をあげて、蘇芳にしがみつく。今この状況ですがれるものは、彼しかいない。
顔は見えないけれど間違いなく、いま笑っている。

い、意地悪・・・と心の中でつぶやく。


「ふん、日頃からそのようにしおらしければいいのにな」

ようやく片腕だけ小鳥の体に回してくれる。

「久方ぶりなんだ。思う存分飛ばせろ」


これがほんとの羽を伸ばすだわ・・・妙なところで感心する。


茜色に染まる西の空にむかって、朱雀は力強く飛翔する。