籠のなかの小鳥は

もともとは蘇芳のために、祖父、太政大臣がつくらせたものだという。

それまで、美しい庭園を嵐のように駆け回って、庭師を泣かせ、しまいに池に落ちていたらしい。

思う存分遊べる場所を、と与えられた山だ。

毎日のように、ここを砦にみたて邸の童たちと陣取り合戦を繰り広げていた、いわば蘇芳の幼き日の戦場跡だ。


さぞかし腕白だっただろう蘇芳の幼い頃を想像すると、知らず口もとがほころぶ。
そこの木の陰から、赤い髪をした少年がひょっこり顔を出してきそうだ。


「どれを摘むのでしょう」

下草の繁みに目をむけて、小鳥は問う。


「ほれ、これでございます」
弼がすぅと伸びている草をしめす。茎は細いが、背が高い。

明日草という草です、と手をのばし先を摘みとる。