籠のなかの小鳥は

あの、と遠慮がちに弼が口をひらく。

「よろしければ、昼餉の後にでも、菜摘などいかがでしょうか?」

なつみ?

「裏の築山に夏の菜が生い茂っておりまして」

山菜採りみたいなものか、と合点する。


「皇女様は、徒歩(かち)にて参られるのを、いとわない方と聞いておりまして」


「はい、わたしは走れといわれれば、二十五里(10km)走ったこともあります」
死ぬかと思ったマラソン大会。


弼が新種の生き物を見る目で、こちらを見る。この国にオリンピックがあったら、メダルを取れるかもしれない。庶民はともかく、宮中の女性のなかならダントツの自信がある。



ありがたく申し出を受けて、昼餉がすんでから、蔓をあんだ籠を手に、弼とともに邸の裏手にむかった。

それにしても、敷地内に山である。郊外ならともかく、ここは都の三条という中心地だ。


土を盛り上げ、木や草を植え、石を配した人口の築山は、なかなか趣があった。