籠のなかの小鳥は

この大和国は、決して太平の眠りのなかにあるわけではない。


大和国は日本と異なり、島国ではなく、大陸の一部に属している。

国は大きく東西南北に分けられ、中央に都がおかれた中央集権国家だ。

四つの国はさらに小さい国に分けられ、それぞれ国司が任じられている。


東国は海に面し、他の三国はそれぞれ他国と接している。北と南を接する国とは、おおむね交易を通じ友好関係を保っている。

問題は西国で、夷狄と呼ばれる隣国は友好的とはほど遠い。対等な外交を認めず、征服か従属関係を強いることで知られる。

内政は混迷がつづき、いくつかの部族や王を名乗る者が覇権争いを繰り広げているという。

これまで大和国は、西国との国境に砦を築き、護りを堅固にすることで侵略を防いできた。

だがここ数年、戦況は急激に悪化しているという。


戦争———祖母があれほど嫌っていたものが、この国では続いているのだ。



なにかを、枢が感じとっている。形は見えない。

自分も彼らも、この国すべてを巻き込む、大いなることが起ころうとしているのではないか———

自分の内で、枢が不安げに小さく鳴いている。