籠のなかの小鳥は




小鳥のために用意された部屋は、西の対にあった。

蘇芳はゆっくりしていけと言ってくれたけれど、そうもいかない。宮中を抜け出している身だ。
いられるのは、せいぜい二、三日だろう。

部屋の調度は、常寧殿にひけをとらないほどに整えられていた。

ひそかに心配していた着替えも、唐櫃に幾領もそろえてあった。色目は、これでもかと赤ばかりだけれど。


「いつ皇女様をお迎えしてもいいように、何ヶ月も前からしつらえてございました」
弼は胸をはった。


赤の宮様・・・・


「ここで一緒に寝るか? 俺はかまわんぞ」
「け、結構でございますっ」

そんなやりとりの後に弼に案内された部屋で、あらためて彼を思う。

日嗣の皇女、と称されながらこの数ヶ月、何もなしてはいない自分のことも。


いつまでも、常寧殿でかづらや女房たちに身も回りの世話をしてもらいながら、皇子たちの訪れを待つ日々が続くわけはない。