赤の宮様———
駆けよりたくなる気持ちをぐっととどめ、この国の礼を必死でなぞる。
座して手をつく。
「わがままを申し、ここまでお邪魔いたしました。お顔を拝見できまして、まことに———」
そんなに俺に会いたかったのか、と不遜な声が小鳥の口上をさえぎる。
思わず顔を上げると、口の端をつり上げ不敵に笑む蘇芳と目があった。
「———はい」
そう、会いたかったのだ、このひとに。蘇芳に。
「素直なことだな」
いつもの蘇芳だ。何も変わっていない。尊大で傲慢で、人を振り回しながら、とてつもない引力をもち、ときに熱く、ときに温かいそのひと。
「宮様のお渡りのない常寧殿は、灯が消えたようでございます」
正直なところを口にする。
「またすぐ顔を出してやる」とつまらなそうに返ってくる。
「お加減がよろしいご様子で、安心いたしました」
朝の光のせいもあるのだろうか。顔色はすこぶる良い。頬の線がすこし鋭くなった気もするけれど、やつれたというほどでもない。声にも目にも力がある。
駆けよりたくなる気持ちをぐっととどめ、この国の礼を必死でなぞる。
座して手をつく。
「わがままを申し、ここまでお邪魔いたしました。お顔を拝見できまして、まことに———」
そんなに俺に会いたかったのか、と不遜な声が小鳥の口上をさえぎる。
思わず顔を上げると、口の端をつり上げ不敵に笑む蘇芳と目があった。
「———はい」
そう、会いたかったのだ、このひとに。蘇芳に。
「素直なことだな」
いつもの蘇芳だ。何も変わっていない。尊大で傲慢で、人を振り回しながら、とてつもない引力をもち、ときに熱く、ときに温かいそのひと。
「宮様のお渡りのない常寧殿は、灯が消えたようでございます」
正直なところを口にする。
「またすぐ顔を出してやる」とつまらなそうに返ってくる。
「お加減がよろしいご様子で、安心いたしました」
朝の光のせいもあるのだろうか。顔色はすこぶる良い。頬の線がすこし鋭くなった気もするけれど、やつれたというほどでもない。声にも目にも力がある。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)