籠のなかの小鳥は

「・・・あの、赤の宮様のご容態はいかがなのでしょうか」
前をゆく女房に問うてみる。


「わたくしはお目にかかっているわけではございませんので・・・」と言葉をにごされた。


主の住まう寝殿へ到着し、廂の間に通される。

母屋(もや)の御簾のまえに控えていたのは、意外にも十三、四歳とおぼしき少年だ。いかにも利発そうな面差しをしている。

弼(たすく)と申します、と少年は手をついた。蘇芳の侍童を務めているという。
小鳥もすかさず膝を折って座す。


「蘇芳さ、いえ、赤の宮様はお目覚めでございます。帳台にて、皇女様をお待ちでいらっしゃいます。
お二人にてのご対面をと仰せですので、わたしはこちらに控えております」

どうぞ、と御簾を巻き上げられ、母屋のうちへと進む。

中ほどに帳台が設けられている。夏のこととて生絹(すずし)の帷がかけられているが、いまそれは上げてある。


その内で、上体を起こし片膝をたて、そこに腕をのせてこちらを見やる人物。
ゆったりとした単衣に緋の大口袴をまとい、無造作な赤い髪をした、その人。