籠のなかの小鳥は

「いえ・・・皇女がどんな願いをこめて折られたか、伝わって参ります。
これは折り鶴というより祈り鶴、ですね。偶然か、折ると祈るは字も似ております」


祈り鶴(いのりづる)———この祈りを届けてほしいと、切に願う。そのささやかな羽にのせて。


「一羽、いただいてもよろしいでしょうか」


珀斗の求めに、恐縮しながら、いちばんよく折れていると思う一羽を選ぶ。

こうやって羽をとじてたたむこともできます、と閉じてまた広げてみせる。

「よくできているのですね」
珀斗は、感心しきりといった口調だ。


彼の差し出す檜扇の上に、そっとのせた。


明日、遅くとも明後日には皇女に文を遣わせます。どうかそれまでご辛抱ください———


珀斗の言葉を胸に抱いて、渡殿をわたり遠ざかってゆく白の直衣の後ろ姿を、じっと見送った。