籠のなかの小鳥は

追い打ちをかけるように、ひどい暑さが続いている。
文月に入ってから、太陽はいっそう凶暴さを増し、毎日容赦なく照りつける。

日中など、さながら鍋の底で煎られている豆の気分だ。


いくら通気性のいい高床式の寝殿造りとはいえ、クーラーに甘やかされた身にはこたえた。


この暑さが、伏せっている蘇芳の体力を削いでしまわないか、いっそう心配がつのる。


赤の宮様、どうか、どうか大事のないように・・・・


祈ることしかできない二日が過ぎた。


ようやく珀斗の訪いを告げる前触れの声が常寧殿に響いたのは、その翌日の午後も遅く。
一瞬、自分の耳を疑った。あまりに待ちわびていたものだから。

しかしほどなく、目を洗われるように清冽な白の直衣が、部屋にあらわれる。


「白の宮様、赤の宮様のご容態はいかがなのでしょうか?」

挨拶もそこそこに、すがりつくように尋ねる。