籠のなかの小鳥は

蘇芳の容態の報せが常寧殿にもたらされることはなく、他の皇子の訪いもない。

その後二日間、小鳥はひらすら打ち沈んで過ごした。


かづらは、「このままでは姫様までご病気になってしまいます」と気をもんだ。

元気がでないのだ。
日がな一日、脇息にもたれかかりため息などついている。
あるいは正しい “姫様” の姿なのかもしれないけれど。


「こんなにお食事を残されるなど、姫様らしくございません」
かづらが袖口を目に押しあてる。

無理に口に押しこんでも、味がしない。喉を通らない。


容態が分からない以上、蘇芳の私邸に文を送るのもはばかられた。返事をしたためられる状態か、さだかでないのだ。


もしや重篤なご病状だったら・・・

じっとしていると、思考が悪いほうへ悪いほうへと流れていってしまう。