「赤の宮様が、ご病気?」
かづらの言葉に、小鳥は顔をくもらせて問い返す。


はい、とかづらがうなづく。
「赤の宮様の宿直所である、襲芳舍のものから聞いた話でございます。
一昨日の昼餉の後、ご不快を申されて、宮中から私邸にお戻りになったとのこと。それから今日まで朝政にも姿をお見せにならず・・・」


「ご容態はいかがなのでしょう?」
手を胸に押しあてて問う。


「詳しいことはなんとも・・・白の宮様がお見えになったら、伺ってはいかがでしょう」


たしかにここ二、三日顔を見せないと思ったらそんなことに、と小鳥は視線を膝に落とす。


ただですねえ、とかづらが首をひねる。
「赤の宮様は、なぜわざわざ宮中を辞されたのでしょう?」


けげんそうな小鳥の視線を受けて、「宮中には典薬寮もございます。無理に動かず、黒の宮様のようにこちらに留まってご静養あそばせばよいものを」

そうすれば、姫様もお見舞いの文を届けやすいではありませんか、と言い添える。