籠のなかの小鳥は

ねえ、あなたは知っているのかな。その昔、うすい青、浅葱色は下の際のものが着る色だったということを。

ときおり———僕に喜んで身をまかせる女性たちも、その胸の奥底では侮っているのではないかという思いにとらわれる。


あなたは違う。僕と同じ “降ってわいた” 皇族だから。


「どうしたらこんなにきれいな字が書けるのでしょう」
小鳥が感嘆の声をもらす。


「心のおもむくままに書くのがいいよ」
声を落としてつけくわえる。
———僕は自分の字があまり好きじゃないな。


まぁ、なぜですか、と目を丸くする小鳥に、うっすらと笑んでみせる。


そう、手蹟には人となりがあらわれる。非の打ち所なく美しい字。だがそれだけだ。なんの味も深みもない、つまらない字。

そういえば珀斗の手蹟は、手練れといおうか力みのない才長けた書きぶりだ。

蘇芳はといえば、筆無精なうえに悪筆で知られている。幼いころから手習いをさせようとすると、すずりをひっくり返して脱走し、戦遊びに興じていたというから道理だろう。