籠のなかの小鳥は

それにしても小鳥の手蹟は、相変わらず稚拙だ。
しかもなんだろう、字を紙の左から右にならべて書いているのは。


けげんそうな青波に、「横書きです。元いた国では、そのような書き方を」とつぶやく。

「へえ、書きにくくない? それだと」

「筆だと書きにくいです」と大真面目に答える。


筆以外になにで書くのだろう。異界のことはよく分からないけれど、読みとれることはある。

「小さな字だね」

流麗であれ稚拙であれ、手蹟には人となりがあらわれる。
小鳥は神妙な面もちで、青波の言葉を聞いている。

ちぢこまって身を丸めているような小さな字たち。とめ、はね、はらいといった終筆は律儀に守っている。


一言でいえば、「怯えた字」だ。
周囲の顔色をうかがい、叱られないようにとばかり神経をつかっている。

この少女がこれまでどうやって生きてきたのか、手蹟は青波に物語る。