籠のなかの小鳥は




青波(せいは)の渡りを告げる前触れの声を聞いてほどなく。
御簾のむこうから、涼やかな青い直衣があらわれる。


おいでなさいませ、と迎える。


ちょっとばかり届けたいものがあって、と手にした檜破籠(ひわりご)を小鳥に差し出す。

ふんわりと甘いにおいが、部屋に広がる。

破籠の中をのぞくと、つやつやと濡れたような肌をみせる豆餅が、青磁の皿にのせられている。竹の細工の楊枝も添えられて。


「あなたには、搗きたてを先に召し上がってほしくて」
とさらりと口にする。


珀斗の提案で、昴の快癒を祝して常寧殿でささやかな月見の席をもうけることになった。

それが今夜なのだが、菓子は青波が手配することになっている。
なんでも、邸に腕利きの賄い役がいるという。