籠のなかの小鳥は

悲嘆にくれながら、宮中を辞し実家(さと)に下がろうとした彼女に、「待った」をかけたのはなんと帝であった。

帝は慶賀の席の可憐な舞い手であった小手毬の姫に、ひそかに目を留めていたのだ。
だが彼女は弟宮と相思の仲。

諦めかけていたところへ、思わぬ弟の死である。

「亡き弟宮がたいそう想いを遺していたものを、このままにはしておけまい」ともっともらしい理屈をこねて、姫を宮中にとどめた。


愛しい人を喪ったばかりの小手毬の姫には、いくら帝とはいえ四十路に手が届こうかという男性など想いをかけられたところで、嬉しかろうはずもなく。

それでも、その意に逆らうすべはなかった。

若宮の喪も明けないうちに、姫は強引に帝の妃のひとりに加えられた。


実家下がりの許しは出ず、ほどなくして懐妊する。