籠のなかの小鳥は

昴の母も、そんな女童(めのわらわ)の一人として、後宮で成長した。
帝のおわす清涼殿の慶賀の席で、舞姫として小手毬の花を髪に挿して舞ったことから、小手毬の姫と呼ばれるようになる。


そんな昴の母の近しい人に、帝の年の離れた弟である若宮がいた。

番はもたなかったが、健やかな人となりで誰からも愛される後宮の華であった。

兄妹のようにむつまじく育った二人は、成長するにつれ自然と想いをよせあうようになる。


今上帝の弟宮と可憐な宮家の姫君。両家の間柄、家格のつりあいもよろしく。
皇族には希有な相思の婚儀、となるはずだった。


そんな二人を悲劇が見舞う。

若宮がはやり病にかかり、周囲の祈りもむなしく亡くなってしまったのだ。享年十六歳。

小手毬の姫は十五歳。来年に控えた婚儀を、指折りかぞえていた矢先の出来事だった。