籠のなかの小鳥は

見舞いの文を開き読む。相変わらず子どもが書いたような幼稚な手蹟だ。

一生懸命さだけが伝わってくるというか。そして、末尾に書き添えてある翼をつけた犬の絵は、玄武だろうか。

枢が恥ずかしそうに視線を落としている。


———さて、返しの文はなんとしようか


文机にむかって、ゆっくり墨をする。常ならば、心静まる時間なのだが、今は視界のすみに邪魔するものがある。

部屋の一隅に高く積まれた、蘇芳からの見舞いの品だ。箱に、上包みに、かけわたした紐までも赤い。
黒を基調にした落ち着いた室礼(しつらい)の中で、存在を主張している。


ちなみに本人が見舞いに訪れたのは数回ほどで、「小鳥を護ったことは褒めてやるが、あれは俺のものだ」等々、言うだけ言って帰ってゆく。