籠のなかの小鳥は




「———あら、白き鳥が」


渡殿を歩く女官が、足を止める。見つめる先、後宮の庭園を白い鳥が羽ばたいてゆく。


「皇女様の番でございますね。たしか名は枢(くるる)と」

もう一人の女官もその姿を目で追う。


「今日もまた文(ふみ)を届けに」

「かいがいしくていらっしゃること」


微笑ましげに、文をたずさえて飛ぶ枢を見送る。

常寧殿と昴の宿直所である淑景舍(しげいしゃ)を毎日行き来する枢の姿を、後宮の者たちは目にするようになった。


常寧殿への落雷をかわってその身に受け、四獣のなかでも最も頑健といわれる玄武でさえ深手を負った。
昴のうちに籠り、じっと回復の刻を過ごしているという。

番と主は二つで一つ。昴も宿直所である淑景舍でその身を休らえている。