籠のなかの小鳥は

玄武の爪が檜皮葺の屋根を掻く鋭い音が、天井ごしに響く。


あれ、玄武が!

屋根に!


人々のざわめき、降り注ぎ地をたたく雨の音、そして————


目撃した他の殿舍の者たちの言だ。


叢雲から放たれた稲妻の一閃が、常寧殿へ。
屋根の上で、四肢を踏ん張り漆黒の翼を広げた玄武の背へ———

五感のすべてをつんざく衝撃に襲われる。雷が———・・・・


しびれる耳を押さえながら、おそるおそる身を起こす。
そしてようやく、抱きしめてくれていた昴の腕がないことに気づく。


「黒の宮様! 宮様っ!」

人が駆けつけ引き離されるまで、小鳥は意識を失って倒れふす昴にとりすがって泣きじゃくった。