籠のなかの小鳥は

わずかばかり座がなごむ。

蘇芳は旺盛な食欲をみせ、二杯目をかきこむ。

ぴたり、とその手が止まった。珀斗も箸を止め、二人で同時に空を見上げる。

「雲が・・」どちらともなくつぶやく。
空がたちこめるような黒雲におおわれ、日が陰ってゆく。

雨か、口のなかでもらして蘇芳がすっくと立ち上がる。

「格子を下ろせ。蔀戸を閉じよ!」

侍従や雑色衆があわただしく立ち働き、あちこちでバタンバタンと木戸の閉じられる音がする。


「雲が厚い。空気がぬるい。これは、雷を呼ぶやもしれません」

珀斗の言葉を聞きながら、片手で柱をつかみ、にらむように空を見上げる蘇芳は、その手に力をこめる。


「小鳥」そのつぶやきが口からもれた。