籠のなかの小鳥は

「何年かぶりですね。番をもつ御子の誕生も」


「ああ・・・我が父上皇は、子をもうける才だけはあったな。
五人の后妃のあいだに、皇子が九人。そのうち番をもつものが三人か・・・」
指を折って数える。


「わたしの父宮は、二人の妃のあいだに四人の皇子。番をもって生まれたのは、わたしだけでしたが」

「お前が生まれたのだから、幸いだったな」


「式部卿の宮様のところなど、なんとしても番をもつ皇子をと望まれましたが、姫君ばかり七人ですからねぇ」


笑えん、蘇芳がつぶやく。
「番をもっていればいいというものでもなし。お前の父君は、我が父よりもはるかに帝にふさわしい方だったのにな。弟というだけで。
番の “絶影” 。自らの影さえも追いつけないといわれるほどの速さをもつ、鹿の姿をしておられた。
あの速さは、白虎にも受け継がれているようだな」

彼が人をそのように評するのは、珍しいことだ。