声がしたと思った方を振り返っても人通りの多い駅前。
人がごった返しててどの人に呼ばれたんか
すぐには判別できひん。

でも数秒、目を凝らしてると
雑踏の中から
私の方に走って来る
スーツにネクタイ、黒いトレンチコートの
見知った人の姿を確認できた。

・・・うっそぉっ!!
なんでっ!?
なんでこんなとこにおるん!??

その人はもう会うことないと思ってたあの人・・・
謙司さん!
さっきの電話でのことが思い出される。

アカン!ムリや!!
会わせる顔がない!!!

そう思った瞬間
きびすを返して走り出す。

「透子!!」

私を呼ぶ声が聞こえたけど、止まれるわけない!

クリスマス仕様の街の中
たくさんの人でにぎわってる街の中
とにかく、走って走って走って走る私を
謙司さんは確実に追ってくる。

はぁ はぁ・・・
疲れへんのかなぁ?
私、そろそろ足がもつれてコケそうや・・・。
今日はなんか走ってばっかやな・・・・・・。