そう言って、燕は頭を下げた。
お父さんが難しい顔をしている。
長い時間が経った気がする。
その後にお父さんは、
「結婚は認めない、見損なった。」
と吐き捨てた。
「話を聞けば、君は未来の高校の時の担任だったそうじゃないか。
教師が生徒に対して、思いを抱くなんて 気持ち悪い。
吐き気がする。
さっさと何処かへ消えてくれ。」
「お父さん……」
たしなめるお母さんの声も無視して、お父さんは続けた。
「未来はまだ子供だぞ⁇
まだ、学生だ。
結婚などそう言ったことを口にする年じゃない。
更に、妊娠なんて……俺は反対だ。
認めない。」
「……分かりました、お義父さんが仰ることについては。
ですが、僕としてもここで引き下がるわけにはいかない……そう思うのは分かってください。
僕は昨年、3月に事故に遭いました。
それから、約3ヶ月の間 目を覚ましませんでした。
その間も未来さんは毎日 僕の面倒を見に、忙しい 大学生活の中 病室を訪ねてくれました。
僕はそのことが本当に嬉しかった。
今、僕がこうして歩いて、話して……健康な人と同じような生活が送れているのは 未来さんのおかげだと思っています。



