それに対して、
「ありがとう、古川くん」

わたしは笑顔で答えた。

「古川くんもいい人を見つけてね」

そう言ったわたしに、
「はい」

古川くんは首を縦に振ってうなずいた。

そんな古川くんにも出会いが訪れるのは、また別の話である。

彼の横を通り過ぎると、
「荻原」

今度は先生がわたしの目の前にいた。

「卒業おめでとう」

笑顔でそう言った先生に、
「ありがとうございます、先生」

わたしは笑顔でお礼を言った。

「また今夜電話するから」

わたしにしか聞こえないように小さな声で言った先生に、わたしは返事をする代わりにピースサインを出した。