わたしが大学に合格した時もそのお祝いとして旅行――と言っても、その気分を味わうために県外のホテルに泊まっただけなのだが――に連れて行ってくれたのに、どうしてまた連れて行こうと言う気になったのだろうか?

そう思っていたら、
「卒業旅行だよ」

先生は答えた。

「卒業旅行、ですか?」

それって、大学生がやるイメージがあると思うんだけどなあ…。

そんなわたしの思っていたことがわかったのか、
「高校生にだって卒業旅行くらいはあってもいいんじゃないか?」

先生が言った。

「ああ、なるほど…」

わたしはそう相づちを打った後、
「それで、今回はどこへ連れて行ってくれるんですか?」

先生に聞いた。

「N県のスキー場だよ」

そう答えた先生に、
「あのゲレンデで有名な?」

わたしは聞き返した。