車でホテルへ向かっている間、荻原は試験の結果を教えてくれなかった。

部屋についた時のお楽しみだと言って、荻原は笑っていた。

「試験はですね…」

荻原は上目づかいで僕を見つめると、
「合格です!」

満面の笑顔を浮かべて、両手でピースサインをした。

「やったじゃん!」

そう言った僕に、
「これでわたしも来年の春から大学生ですよ!」

荻原は嬉しそうに言った。

「荻原、よくやったな」

まあ、荻原なら絶対にやれるとそう信じていたけれど。

そう思っていたら、グーッとお腹が鳴った。

「あっ…」

「お互い様だな」

僕らはクスクスと笑いあった。

「もう6時前ですもんね」

腕時計を見ながら言った荻原に、
「ルームサービスを頼んだから、そろそろくると思うよ」

僕がそう言った瞬間、コンコンと部屋のドアをたたく音がした。