そう言った荻原を、僕は見つめた。

見つめられた荻原は頬を林檎のように紅くさせると、
「キスをするって言っても、頬にですよ!?

唇はさすがに、できないです…」

慌てたように言った。

この反応は本当に初めてのようだ。

かわいい顔した肉食獣かと思っていたら、中身はウブな純情娘なんだな。

荻原の反応を見ながら、
「どうぞ」

僕は言った。

「じゃあ…」

林檎のように真っ赤になった荻原の顔が僕の方へと近づいてきた。

チュッ…と、僕の頬に荻原の唇が触れた。

彼女の唇が離れると、
「初めて自分からキスをした感想を聞いてもいいですか?」

そう聞いた僕に、
「…先生って、イジワルですね」

真っ赤な顔で呟くように、荻原が言った。