変えられない事実だからこそ…


やっぱり想いは伝えられない。


けれど…


自分の犯していた過ちに気付いたあの日から


ずっと降り止むことなく、心の中の雪が…


少しずつ溶けて行くように…



ふとした瞬間に思ってしまう。



もう一度…。


家族というものに…触れて見たい。



俯いて何か、考えてる翔太さんに視線を向けると、それに気づいたのかパチリと目があう。



何も言わない私を不思議そうな顔で、それでも微笑む翔太さん。



私に離婚という経歴がなくて…

彼をそんなものに巻き込まなくても良かったなら…




こんなに身体中から溢れ出る思いを今すぐに伝えられたのに…。



好きな気持ちを…伝えられないことが

苦しいなら…


いっそ、翔太さんに早く別の良い人が現れてしまえば…


この苦しみからも


少しは解放されるかもしれないのに…。



自分の幸せと

好きな人の幸せを天秤にかけたら…


やっぱり私は

ねえ…

翔太さんに笑顔でいて欲しいと願ってしまう。


そう…


誰も傷つけずに

誰にも迷惑をかけない恋が…

翔太さんにはよく似合ってる。