「おっ、きたぞきたぞ!やっぱ喧嘩するほど仲がいいって言うよなぁー!いつからなんだ?あれ?それにしてもやけに早かったなぁ、やっぱり若さだな!!」
「遅かったね」「遅かったみたいだね」
食堂に入るがいなや下の話ばかり。
さすが男所帯。
僕は女子校だからまぁまぁそう言う話は飛び交ってたけどここまであからさまだと反応できないね
平助め、後でとっちめておかなければ
その後は総司が違うって事を黒い笑顔でみんなに言ってくれたからその場は収まった。
総司の隣でご飯を食べていると、不意に箸が伸びてきた
「ちょ、え?僕の魚取らないでよ!」
「はぁ?取ってないよ」
日和は悠々と食事をしている総司に詰め寄るが呆れたような顔をされた
「じゃあ誰っていうのさ!」
「……はぁ、どうせあそこの三馬鹿のチビでしょ」
「チビじゃねぇ!!!俺はたくさん食べて佐之さんやしんぱっつぁんより大きくなるんだよ!」
そしてみんなが思った
『認めてるじゃん』と
「そっか、たくさん食べないとおっきくならないもんね、いいよ、たんとお食べ?」
僕は大人だからね。ちっちゃい子には譲ってあげるんだ
「お前も俺とそう変わんないだろうが!!」
「僕はいいんだよこれで」
「はぁー!?!?もっとおっきくなりたいだろ!?そんなんで満足してんのか!?男が廃るぜ!」
男じゃないから廃る男もないのだが。
「ん、んー、まぁ?そっか、じゃあ僕も食べなきゃいけないから返して?」
「あぁ!俺は優しいからな!太刀川もたくさん食べて大きくなれよ!」
「へ、平助……?あいつまさか……」
「なんだ佐之、どうかしたか?」
原田さんと永倉さんが何か言っていたし、結局なんだかなぁって感じに終わった食卓だったが、周りの目は暖かくて、ここの人たちは、やっぱり優しいんだと思った
「日和、もうすぐだ、行こう」
総司は部屋に戻って夜になっても寝ずに起きていた、もうそろそろ龍馬の所に行かなければいけないのにと日和が内心焦っていた時だった
「へ?どこに?」
一緒に行くとこなんてあったっけと日和が首をかしげる
「……坂本龍馬の所へ行くんじゃないのか?」
「えっ、いっしょにいくの!?」
衝撃すぎて日和は目を向いて総司を見た
「……あくまで君は新撰組の一員だ。一人で夜抜け出して、敵の最重要人物と言える坂本龍馬と会っている事自体が罪だ。それを黙認している僕の身にもなってくれ、……本当は行かせる事自体がだめなんだよ?だけど関わっている事柄が事柄だ。ほら、本当に行かないと手遅れになる、日和、行こう」
総司はいつになく真剣な目で僕に言って聞かせた
たしかにそうだ。自分でもわかっていたはずなのに……
普通なら総司にバレた時点で僕は切り捨てられていても構わなかったっていう事だよね……?
そこまで考えて日和は末恐ろしくなった
でも、
「うん。ごめんね、ありがとう総司」
しなかったってことは、僕が新撰組の一員だって言ってくれたってことは、総司は僕のこと。
少しは認めてくれたのかな
