メイズの前で待っていると、夏生が白い息を吐きながら、駅の方から走ってくるのが見えた。
「ごめんな、急に」
そう言って微笑む夏生に、私は泣きながら抱きつきたくなった。
頭をなでてほしかった。
大丈夫だよ、って。
なにも心配することなんてないよ、って。
自分でも、どうしてここまで不安なのかわからない。
ただ、あの女の人に会うのがこわかった。
何を言われるのか、全く想像がつかなくてこわかった。
「どうした?」
黙り込む私の顔を、夏生が身を屈めて心配そうに見た。
「……なんでもないよ」
「もしかして緊張してんの?」
言い当てられて、目が泳いだのが自分でもわかった。
夏生はくくっと笑って、私の頭をなでてくれた。
「大丈夫だって。しずくも会ったことあるやつだから。宮下って覚えてる? こないだハムスターの話をしてたやつ」
夏生は「行こう」と私の手を取ると駅に向かって歩き出した。
宮下……?
ハムスター?
「みっ、宮下って……あの宮下さん? さっきの女の人じゃなくて?」
「女の人? ああ。あの人は、一階のメイズに用事があったからふたりで寄っただけ」
ほっとした。
泣きそうなくらいほっとした。
体の力が抜けて、思わずははっと笑う。
なんだ。
あの女の人じゃなかった……。
「なんだよ、今度は急に笑いだして」
夏生は振り向いて、私の顔を見ると不思議そうな顔をした。
「ごめんな、急に」
そう言って微笑む夏生に、私は泣きながら抱きつきたくなった。
頭をなでてほしかった。
大丈夫だよ、って。
なにも心配することなんてないよ、って。
自分でも、どうしてここまで不安なのかわからない。
ただ、あの女の人に会うのがこわかった。
何を言われるのか、全く想像がつかなくてこわかった。
「どうした?」
黙り込む私の顔を、夏生が身を屈めて心配そうに見た。
「……なんでもないよ」
「もしかして緊張してんの?」
言い当てられて、目が泳いだのが自分でもわかった。
夏生はくくっと笑って、私の頭をなでてくれた。
「大丈夫だって。しずくも会ったことあるやつだから。宮下って覚えてる? こないだハムスターの話をしてたやつ」
夏生は「行こう」と私の手を取ると駅に向かって歩き出した。
宮下……?
ハムスター?
「みっ、宮下って……あの宮下さん? さっきの女の人じゃなくて?」
「女の人? ああ。あの人は、一階のメイズに用事があったからふたりで寄っただけ」
ほっとした。
泣きそうなくらいほっとした。
体の力が抜けて、思わずははっと笑う。
なんだ。
あの女の人じゃなかった……。
「なんだよ、今度は急に笑いだして」
夏生は振り向いて、私の顔を見ると不思議そうな顔をした。


